オタク、母子家庭の友人と、知恵遅れと呼ばれる症状があった級友と遊んでいた

小学校の高学年の頃は、勉強やスポーツで目立つわけではなく、クラスメイトから好かれもせず嫌われずに、そこそこに過ごしていたと思います。オタクっぽい男子、母子家庭で新聞配達をしている男子、溜池のボート小屋に住んでいる男子など、ちょっと曰くありげな友人と仲が良かったのを覚えています。

 

その中で、体がクマのプーさんみたいにでっぷりとしていて、顔はムーミンみたいな愛嬌があるO君がいました。彼は当時、知恵遅れと呼ばれる症状があり、かけっこも苦手でしたし、勉強の理解も遅かったのです。担任の先生が気遣って鬼ごっこの「ごまめ」のような扱いを受けていました。
とは言っても、O君は滑舌が悪く、いつも「イ~イ~」と唸りながら、一人で笑っていたので、多くの級友たちはあまり相手にしていませんでした。

 

しかし、不思議なことに私やオタク、母子家庭、ボート小屋は、休み時間になると彼を相手にしていたのです。O君もそれがうれしかったのか、いつも私たちの後をついて回っていました。

 

私たち4人は体が小さかったので、O君の大きな体を使って遊んでいました。彼におんぶしてもらったり、彼の腕にぶら下がったりしていたのです。O君は体が大きくて、さらに一見何を考えているのか分からないように見えるので、廊下を歩いていると他のクラスの人たちは道を開けてくれたりするのです。私たち4人は大柄な知恵遅れの用心棒を従えて、イジメられることを防いでいたのです。もちろん、当時はそんなこと意識していませんでした。ただ単に何でも言うことを聞く、O君を面白がっていたのだと思います。

そんなある日、私たちはO君にある命令を出しました。クラスには、髪が長くて、可愛いだけでなく、とても発育がよくて胸が大きいYさんがいました。私たちは彼女と話がしたかったのですが、Yさんはシャイな性格であり、周りには取り巻きの女子がいたので、なかなかしゃべることが出来ませんでした。そこで私たちは、自分が彼女としたいことをO君に命令しました。

 

それは、Yさんとキスをするということです。私たちは、そんなこと出来ないよなぁ!と笑っていたのですが、O君は「イ~イ~」と言いながら、Yさんに体をもじもじさせながら近づいていきました。

 

彼の態度はハタから見ているととても気持ち悪いものでしたが、彼女は笑顔でO君に対応していました。これは彼女の性格にもよりますが、担任の教師がO君を差別するなと指導していたこともあったと思います。

 

もじもじしているO君にYさんは「なぁに? どうしたの?」と聞いていたのですが、O君はすぐに私たちの所に戻ってきました。私たちは小声で、「やっぱり出来ないじゃないか!」というと、O君は申し訳なさそうな「イ~イ~」と答えました。

 

私は、「恥ずかしかったら、カーテンに隠れてして来いよ」と言いました。O君は渋々、窓際にいるYさんの所に行きました。彼は不思議そうにしている彼女を、引っ張ってきたカーテンで包んでしまいました。Yさんは「あっ」と声を上げてカーテンから飛び出してきました。

 

O君は「イーイー!」と大きな声を上げて、私たちの所に満面の笑顔で近づいてきました。すると、Yさんの取り巻きが走ってきました。私たち4人は廊下に逃げたのですが、O君は捕まってしまい、担任の教師に通報されてしまいました。

 

担任も女子たちも彼が知恵遅れだと分かっているので、あまり怒ることは出来ませんでした。また、私たち4人は注意を受けましたが、知恵遅れを相手にしている実績もあったので、無罪放免になったことを覚えています。それからも、私たちは何もなかったようにO君を相手にして過ごしました。

 

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