母の臨死体験によると、死後の世界はお花畑で、三途の川があったそうです

子どもの頃から死後の世界や死の瞬間にとても興味がありました。テレビ番組や少年誌でもそんな内容のものばかり見たり読んだりしていました。そんな私を見て母親が「気持ち悪いわ~」と言っていたのを覚えています。

 

家の近所には夜になると人を引き寄せる電車の踏切があり、「カンカンカン」と音を聞くと遮断機を潜ってしまう人が多いので近づかないように言われていました。

 

また、道路の真ん中に邪魔になるような大きな樹があり、その下には小さな祠が鎮座していました。今までこの大樹を切ろうとした業者の人が何故か不自然な死に方をして、そのままになっているとのことでした。

 

さらにお盆になると近所の病院の空き地で盆踊りが催されるのですが、外部の人はどうしてもその現場にたどり着けないという噂もありました。

 

子どもの頃に住んでいた地域には、このような少し変わったことが、当たり前のように伝わっていたのでした。

 

そんな私が小学校3~4年生に体験したことなのですが、親戚のおじさんが死ぬ間際に私の枕元にやってきたのです。そのおじさんは当時30代だったと思うのですが、結婚をして飲食店を切り盛りしていました。私も親に連れられて食べに行ったりしました。男前で優しくて、お嫁さんも店を手伝って、仲睦ましい理想的な夫婦だと私の目には映っていました。

 

私はそのおじさんの店に連れって行ってもらえるのを楽しみにしていたのですが、ある頃より両親はまったく話題に出すこともなくなりました。そんなある夜、私はおじさんの店でピラフやホットケーキを食べている夢を見ました。

 

久しく行っていないので欲望が溜まっているのかなぁ…くらいの気持ちだったのですが、それから毎晩のようにスパゲッティやコーラを飲んでいる夢を立て続けに見始めたのです。「美味しいね」と私が声をかけてもおじさんは振り向きもせずに、カウンターの向こうで料理を作り続けているのです。私は何度も何度も「おじさん! おじさん!」と声を掛けました。

 

すると、急に後ろから私の肩に手を掛けて、揺らす人がいたのです。驚いて振り返ると、それは母親でした。そして真剣な表情で、「おじさん…死んだそうよ」とつぶやいたのです。と同時に、私は目を覚ましました。布団で寝ている私を、母親が肩を揺らして起こしたところだったのです。

 

聞くところによると、一流私学を卒業したおじさんは、祖父母から一流企業への就職を期待されていたそうです。祖父は家業をしていたので、それを継がずに安泰な道に進んでほしかったようです。しかし、親の反対を押し切って借金をして開店したとのことでした。

 

飲食店は水商売なのでとても不安定な仕事です。しかもどんどん借金がかさんだそうです。首が回らなくなったおじさんはここ何日間は行方不明で、ついに富士山の樹海で発見されました。おそらく自殺だということです。

 

お葬式で下を向いて肩を震わせている新婚のお嫁さんの姿が目に焼き付いています。母親から聞いたところでは、ショックを与えないために祖母には交通事故ということにしていたそうです。

 

そんな母親も癌で亡くなる間際に、ベッドの脇に私を呼んで囁きました。「あなただけに言っておく。あなたは薄気味悪いことが好きだったから。ほかの人に言うと、気が狂ったと思われるから」と言って、臨死体験について語り始めました。

 

死後の世界と思われるところはお花畑で、三途の川があったそうです。とても綺麗だったので渡ろうとすると、既に亡くなっている母親(私の祖母)が向こう岸から現れて、鬼のような形相で「こっちへ来るな!」と叫んだそうです。そのあまりにも大きな声で我に返ると、ベッドの上で医者や看護婦が脇にいたというのです。

 

おじさんの件も、母親の件も、当時は私自身や母親の潜在的なイメージが勝手に想起させたものだと、自分を納得させていました。しかし、齢を取るにつれて、色々な不思議なことが起きるので、「もしや…」という思いもしています。身内に関して、このような体験をすると、幽霊やお化けを逆に怖くなくなるようになってきました。

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