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リラクゼーションマッサージ店を営業不振のため閉店。常連客が亡くなり涙

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私は20数年のサラリーマン生活の後4年間リラクゼーションマッサージの店を経営していましたが、昨年の12月に営業不振のため閉店しました。

 

最後まで儲けを残すことができず、借金こそ残さなったものの経済的には全く得るものはなかったのが残念です。

 

しかしながら、4年の間に1500人近くのお客さんと出会うことができたのはとてもありがたい体験だったとは思っています。中でも一番のお得意様であったTさんとのおつきあいはとても貴重なものだったと思います。

 

開店して4カ月ほど経ったある日の夕刻。店の前に一台の大きなベンツが停まりました。中から出てきた初老の男性は色黒のサングラス姿で押し出しは十分。一瞬やくざかな?と疑った程です。

 

話しを聞いてみると、どうも堅気の人らしく、ちょうど定年退職したばかりで、大きな手術を受けて退院したばかりとのこと。

 

少し安心したものの、声の大きなその人の気難しい注文にすぐに辟易とさせられました。なにしろ、通常は全身60分というのがコースなのですが、いきなり左足90分!という注文を平気でする人です。くたくたになりながらも施術を終えホッとしました。

 

開店当初の当時は自分で言うのも変ですが、それほど技術的には上手くはなかったはずなのですが、Tさんにとってはなにか気に入ることがあったのでしょう。

 

他のお客さんはよく来る人でもせいぜい月に2回~3回程の来店なのですが、以来約2年半、ほぼ毎週2~3回月に10回程も通っていただきました。金払いも非常によく一回平均3~4千円のところTさんだけは6千円程も注文していただき、うちの店にとって非常に重要な方だったと言えます。

 

元々病気がちだったTさんですが、酒もたばこも控えることなく再び入院されたと聞き、3カ月ほど来店がなく心配していた頃です。

 

店の電話が鳴り「家に来てくれ」とのリクエストで、今度はこちらが足繁く通う日々が始まりました。

 

通常はほとんど出張サービスはしなかったのですが、なにしろ一番のお得意様のこと、夜遅くなる日も度々でしたが喜んで通わせていただいていました。かなり病状も悪くなっていて歩くこともままならなくなっていましたが、自宅でもそのわがままな性格はそのままで、大声を上げて奥さんに世話をやかせていました。

 

車椅子での生活だったのですが、その自宅のマンションのエレベーターの改修工事があるため通院が不便、とのことで2週間ほど検査もかねて再入院することになったのが昨年の4月の連休前の頃です。

 

「見舞いがてら病室でマッサージしてくれ」と言われ「ではまた、お大事に」と言って別れたのが4月28日。まさかそれが最後になるとは夢にも思っていませんでした。2週間ほどと聞いていたのに、いくら待っても音沙汰がなく約一か月が過ぎようとしていました。

 

心配になって奥さんの携帯に電話したのがちょうど一か月後の5月28日の夜でした。「今電話しようと思っていました。5月26日0時18分 旅立ちました。お葬式を今日済ませたところです。」

 

いつも明るかった奥さんのとても疲れた声にとても驚き、私はそれから10分程電話口で信じられずに泣きじゃくっていました。まだ63歳です。とても信じられませんでした。

 

とにかく、入院するまでの約二カ月の間はほとんど毎日のようにご自宅にお邪魔して、2~3時間もマッサージさせてもらっていた人が、もうこの世にいない、という事実が突然目の前に突き付けられて、文字どうり目の前が真っ暗になったような気がしました。

 

私は3年前に自分の父親を亡くしていますが、そのときでさえ全く泣くことはなく、我ながら「冷たい人間なのかな」と思っていました。しかし、親戚でも友達でもないTさんの突然の死に対しては今でも不思議なくらい取り乱してしまいました。

 

それから半年、4年間続けてきた店も閉店することになり、改めてTさんの有難さを思い、心の中で深くお礼をしました。

 

あの時の悲しさは一体何だったのか、単純に店の営業が悪くなるのを懸念したものだったのか、それともTさんに対して家族のような感情を抱いたものだったのか、は今でもわかりません。

 

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